一般社団法人中小企業診断士協会が発表している中小企業診断士1次試験に関する統計資料をもとにした、データからみる中小企業診断士試験についての記事。
データは平成28年度の試験結果及びそれ以前の受験データをもとにしている。
一次試験の科目別の受験者数・合格者数・合格率
科 目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
経済学・経済政策 | 12,266 | 3,636 | 29.64% |
財務・会計 | 10,753 | 2,320 | 21.58% |
企業経営理論 | 12,659 | 3,746 | 29.59% |
運営管理 (オペレーション・マネジメント) | 11,865 | 1,395 | 11.76% |
経営法務 | 13,259 | 839 | 6.33% |
経営情報システム | 13,385 | 1,143 | 8.54% |
中小企業経営・中小企業政策 | 12,283 | 1,539 | 12.53% |
試験科目ごとで合格率にばらつきがある。 経済学・経済政策と企業経営理論はなんと3割近い合格率だ。一方、経営法務は6%代、経営情報システムは8%代と非常に低い合格率になっている。合格率を平均すると17.14%という結果となった。まずまずの合格率というところか。
こうしてみてみると、科目を絞って受験することのリスクが浮かび上がってくる。科目を絞ると、一つの科目に投下できる勉強時間が増加して合格率は高まるだろう。しかし、合格率の低い年にあたってしまうと、集中して勉強していたとしても合格点に達しない可能性もあるのだ。そういったリスクを考えるなら、まんべんなく受験するのも一つの手段となる。しかも、運よく難易度の低い科目にあたれば、高得点によってほかの科目の底上げも可能となるのだ。
過去4年間の科目合格率の推移
科 目 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 |
経済学・経済政策 | 2.13% | 19.41% | 15.49% | 29.64% |
財務・会計 | 16.55% | 6.13% | 36.89% | 21.58% |
企業経営理論 | 6.82% | 13.40% | 16.67% | 29.59% |
運営管理 | 10.51% | 17.82% | 20.46% | 11.76% |
経営法務 | 21.10% | 10.39% | 11.39% | 6.33% |
経営情報システム | 51.80% | 14.97% | 6.41% | 8.54% |
中小企業経営・中小企業政策 | 16.87% | 31.15% | 12.20% | 12.53% |
全体平均 | 17.97% | 16.18% | 17.07% | 17.14% |
上記を参考に作成
まず、経済学・経済政策の合格率は平成25年に2.13%というとんでもなく難しい年もありながら、近年は29.64%と比較的合格率も高かった。また、経営情報システムは平成25年に51.8%の合格率を記録。なんという大盤振る舞い。近年の難化傾向にも影響がありそうだ。さらに全体平均をみると17%程度と意外と安定している。こういった点からも、7科目をまんべんなく受験した方が安定的に一次試験を突破することができるのだ。
1次試験の年齢別の受験者数・合格者数・合格率
年 齢 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
20歳未満 | 67 | 3 | 4.48% |
20~29 | 3,198 | 385 | 12.04% |
30~39 | 6,502 | 898 | 13.81% |
40~49 | 5,614 | 693 | 12.34% |
50~59 | 3,116 | 350 | 11.23% |
60~69 | 854 | 74 | 8.67% |
70歳以上 | 93 | 1 | 1.08% |
合 計 | 19,444 | 2,404 | 12.36% |
年齢別にみると受験者数、合格者数ともに30代が一番多く、40代、20代と続く。やはり、資格の特性上、ビジネスパーソンに人気の資格で、自己啓発や独立開業などキャリアの向上を目的として受験するのだろう。また、幅広い層が受験し、60代もそこそこの合格率を保っているため、定年退職後に資格を志す人も多いのが特徴だ。
男女別の受験者数、合格者数
性別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
男 性 | 17,733 | 2,281 | 12.86% |
女 性 | 1,711 | 123 | 7.19% |
男性の受験者数が圧倒的に多い。これは中小企業診断士にとっての顧客である経営者の男女割合に近いものがある。おそらくだが、経営者は自分と同性の中小企業診断士を好むかもしれない。これは性別によって、経営のスタイルにも傾向があることも影響しているだろう。
合格率についても男性の方が高い結果となっている。理由はわからないが、受験者数が少ないことも影響しているかもしれない。ある程度分母が増えてくると合格率の差は埋まる可能性もある。
まとめ
中小企業診断士は企業を取り巻く様々なデータをもとにコンサルティングを行う。そういった観点からも、受験する際にはまず資格の現状を把握し、効率的な勉強を行うことが中小企業診断士の第一歩かもしれない。
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